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Technical updates

「PowerShell実践ガイドブック」という本を書きました!

このたび、PowerShell実践ガイドブックという本を執筆・刊行する運びとなりました。

本日から予約開始、2018/5/30日に発売です。

※ Amazonの紹介文がおかしいのは修正予定です。 修正されました。

Amazonなどのオンライン書店で予約が始まってます。 Kindle版もありますが、まだAmazonでは発売情報が出ていませんのでお待ちください。 5/22 Kindle版も予約開始しています。

また、マイナビ出版でもPDFを販売しています。

book.mynavi.jp

PowerShell Coreを扱った本は、世界では2017年に発売された6.0リリース前の本のみで、国内でも初めてになります。

こんな人におすすめです

  • ふだんのちょっとしたPC作業を自動化をしてみたい方
  • システム管理者としてPowerShell使っていく、使いこなしたい方
  • 開発者からみてPowerShellをどう使うか気になる方

テーマは、PowerShell Core (PowerShell 6.0) をメインに据えた、PowerShellを実際に使っていくときのガイドとなる本です。 この本は過去の「PowerShellを触り始めた直後の自分」がほしかった本でもあり、今の自分が幅広い利用者を想定して書き出せる限界ギリギリを絞りました。 コードパズルに近いマニアックな内容にならず、プログラマーでないとわからないということがないように気を使っています。

Twitterアンケートでも本当に幅広い方がPowerShellを使っていて嬉しい反面、最新の情報や実践を見据え体系的にまとまった情報を得にくいと感じていました。

私自身がPowerShellを学び始めたときに困ったのが「情報がない」です。 PowerShell 6.0になって、Windowsだけでなく、macOSやLinuxでも動かせるようになりました。 とはいえ、PowerShell 6.0をどうやって導入するのか、何に使えるのか、どうやって動かすのか、スクリプトってなに、関数? 高度な関数?実際に使ってみてハマることは?という、基本的なことすらも分かりにくいと感じていました。 PowerShellに関する記事を数多く書いて来ましたが、「本によるまとまった情報の取り込み力」が必要と考えての一冊です。

本書が、そんな悩みを解決できる一助になれば、幸いです。

Windows PowerShell In Action や Windows PowerShell Cookbook との違い

当初案のタイトルは、PowerShell In Action でした。 まさにテーマが In Action「実際に使う」ということだったので被ってることにしょんぼりすることになるとは思いませんでした。

Windows PowerShell イン アクション も Windows PowerShell クックブックも何度か推薦するぐらい素晴らしい良著で私の大好きな本です。

PowerShell実践ガイドブックは、この2冊と明確に立ち位置が違います。

  • PowerShell Core (現時点の最新である PowerShell 6.0) をメインとした内容になっている
  • 体系的な基本機能も網羅しているが、常に実践を意識した内容になっている
  • 実際にPowerShellを使うにあたっての操作や直面する課題を対象にしている

これまで学んできたことを含めて全ページ書き下ろしているので、お気に入りの一冊に加えていただけると嬉しいです。

章構成と立ち読み

大まかな構成は、まずは触ってみる(1章)→コンソール操作と基本機能(2章)→管理操作(3章)→スクリプティングと自動化(4章)→実践とTips(5章)となっています。

本書の前書き「はじめに」のセクションをテキストで出すことを編集者さんに許可もらったので、ブログで一部を公開します。 「はじめに」の全文はマイナビ出版様より立ち読みとして公開予定もあるそうです。

本書の想定する読者

本書は、これからPowerShellを触ってみたい方、システム管理者、開発者の三者を想定しています。 これから触る方には、日常の中で繰り返し手作業で行っていることを自動化する足がかりになるでしょう。 特に、筆者自身が今までコマンドプロンプトやPowerShellをちょっとだけ起動したことはあったけれども「さらに習得したい」と考えたときに手に取りたかったものとして本書を執筆しました。

システム管理に求められる問題領域は、コンピューターシステムの構成や運用に始まり、ネットワーク、コンピューターセキュリティなど多くのリソースに及びます。さらに、クラウド管理、データベース管理、Webシステム管理などが求められることも少なくありません。開発者としても、多くのビルド、デプロイ、Application Programming Interface(API)を通した各種サービス操作を日常的に行います。

両者に共通するのは、多岐にわたる知識と解決です。限られた時間の中で解決するために、多くの操作を自動化する必要に迫られます。操作自体はシンプルな処理の連続であることが多く、コマンド1つ、あるいはパイプラインでつないで、はたまたスクリプトで自動化されます。

PowerShellは自動化に際して大きな力を発揮します。特に構造化データの取り扱いの容易さが大きな力になるでしょう。経験の有無にかかわらず、繰り返し作業やうんざりする作業をPowerShellを使って自動化したい方にとって本書が力になると考えています。

本書で得られること

本書を通して、PowerShellを使うことに対して「知らない」に起因する心理的なハードルの軽減すること、そして、PowerShellの網羅的な内容を知ることができるように気を配りました。本書は詳細機能の説明を無理に詰め込むことはせず、本書を読み進めることによってPowerShell 6.0の概要の把握から、C#コマンドレットの作成の入り口までの導入を目指しています。

本書は5章に分かれています。各章はテーマを持ち、実践的なTipsを交えつつ紹介しています。

第1章では、起動するのも初めて、これからまさに触ろうと思ったときに知りたかった「何ができるか」を平易に伝えることを念頭に置きました。Visual Studio Codeを使ったPowerShellのデバッグにも触れています。他言語の経験者の方やすでに慣れ親しんでいる方からすると、すでに知っていること、普段から行っていることの繰り返しに近いため、第2章から読み進めてもいいでしょう。

第2章では、PowerShellのコンソール操作に触れつつ、しっかりと基礎を学ぶことを目標に置いています。 PowerShellは、操作することを自動化に結び付けやすいため、多くの方にとってはこのコンソール操作をどうするかが知りたいことだと思います。

第3章では、クロスプラットフォームなシステム管理操作がテーマです。操作ログやリモート操作を始めとして、PowerShellでどのようにシステム管理を行うかを主題にしています。

第4章では、スクリプティングを網羅しつつ、理解できるようにしました。スクリプト、関数、クラス構文を始めとした機能の利用から、実際にモジュールを作って公開することまで、手を動かしながら学べます。

第5章では、さらに一歩進んだPowerShellの利用に触れています。実際にPowerShellを使って気付く悩みがちなこと、より実践的なTipsに踏み込んでいます。

PowerShellは画面がテキストだけということもあり、コマンド操作経験がない方がいきなり触るには難しいと考えています。そこで、第1章は、平易な言葉と例を用いて、可能な限りわかりやすい表現を心がけました。第2章以降は、オブジェクトなどの概念を順に追いかけつつ、手を動かしながら理解していく内容になっています。初めてPowerShellを触る場合でも、C#や.NETランタイムの知識や経験は必要ないように配慮して書きましたが、第2章以降ではそれを知っていることが理解を助けるでしょう。

本書で得られないこと

PowerShellは、管理や自動化といったタスクを達成しようと思ったときに使うであろうツールです。本書が目指すのは、ツールの扱い方であり使い方ではありません。したがって、標準だけでも500を越えるコマンドの1つひとつの説明はしないので、どんなときにどのような管理をするのかというユースケース、Acrive Directoryのアカウントの操作方法などは本書で説明しません。

また、本書をもってプログラマーになることは目的としていません。スクリプト環境としてVisualStudio Code(以降、VS Code)を使って説明しますが、PowerShell ISEやVS Codeの使い方やスニペット、GUIアプリケーションの作成などは触れません。

線引き

「PowerShellは何でもできるわけではない」といってしまうのは簡単です。やりたいことを探していて、要件をまったく満たしておらず使えないということもあります。コマンド1つで実行できて極めて便利なこともあるでしょう。しかし、可能ではあるものの、PowerShellで行うには複雑になってしまって難しいこともあります。

本書では、こういったPowerShellだけでは扱いにくいことをどのように扱うか、あなた自身が学んでいけるようにガイドを示します。

Windows PowerShell と PowerShell Core

2018年現在、PowerShellには、2006年に発表されたWindows PowerShellと2018年に正式版を迎えたPowerShell Coreが存在しています。

PowerShell 6.0は、PowerShell Coreの最新リリースバージョンです。Windows PowerShellのコードを元に.NET Coreをベースとしてさまざまな改善が図られており、Windows PowerShellを置き換えることを視野に開発されています。パフォーマンスや使い勝手の大幅な改善を目的に後方互換性をなくした機能もあり、.NET Frameworkには存在するものの.NET Coreにない機能は削られてもいます。

本書はPowerShell Coreの最新リリースである「PowerShell 6.0」を前提として紹介していますが、Windows PowerShellからみた変更点にも極力触れています。Windows PowerShellについて知識をお持ちの方は、PowerShell Coreでどのように変化したのかにも注目してください。

AzureAD ログインと Docker for Windows Shared Drive によるボリュームマウント

Docker は普段 macOS で使っているのですが、そういえば Docker for Windows がGAされて久しいです。ふつうに Linux コンテナが動かせるのは WSL とは違うコンテナとしての良さに満ちてていいものです。

docker run -it centos /bin/bash

とはいえ Docker for Windows は、触るたびにHyper-V をはじめとしていくつかの特徴的な挙動で難しく感じます。

さて、今回は AzureAD でログインしている Windows において、Docker の Shared Drive が上手く使えない症状に遭遇したので、解消方法をメモしておきます。

見つけるまで結構悩んでしまったので、もしほかの方が同様の症状にあった時にうまくいくヒントとなることを祈ります。

更新

2020年6月 時点で、最新 Docker Desktop for Windows にて修正されています。やったね!

github.com

目次

概要

Docker はホストのドライブをコンテナで共有する機能があります。Docker for Windows の場合は、SMB (TCP445) を使います。(SMB/CIFS)

これにより、ホストのファイル更新をコンテナと共有が可能だったり、ログ処理したりが可能になります

環境

Docker for Windows 17.09.1-ce-win42

Share Drive 方法

Docker for Windows > Settings > Shared Drives に行きます。ここで共有したいドライブを有効にします。

  • シェアしていない状態

  • シェアした状態

うまくいきましたか? やりましたね!完璧です。そのまま docker run -v を楽しみましょう。

docker run --rm -v c:/Users:/data alpine ls /data

単純にこれで済む場合は、local User でログインしている Administrators 権限を持っているケースか、AD でログインしていて適切に権限が付与されているケースが経験あります。

注意点

Network Connection Profile

もし自ネットワークプロファイルが private でない場合は、Private にしておきます。ただ、Hyper-V のプロファイルはパブリックネットワークで構いません。

自宅や職場で guest or public netrowk は、相応の理由がない場合はちょっと困ったことを引き起こしやすいです。(Firewall ルールからしてセキュアに守られる)

Hyper-V ではない、自分のイーサネットやWifi のネットワークコネクションのプロファイルを プライベートネットワークに変更する場合は、PowerShell 上で以下でさくっとできます。*1

# 対象のId を確認しましょう。
Get-NetConnectionProfile
$id = "対象のConnectionIdをどうぞ"
Set-NetConnectionProfile -NetworkCategory Private -InterfaceIndex $id

うまくホストのネットワークが プライベートになりましたか?

Firewall

Firewall の警告が出た場合はこのケースがあり得ます。

Firewall で弾かれる場合は TCP 445 のコンテナip 10.0.75.1からのアクセスになっている DockerSmbMount のエントリが許可になっていますか?

このコンテナIP 10.0.75.1 は、Docker for Windows > Settings > Network にあるデフォルトの値です。自分でIPを設定されている場合はよきように解釈してください

もしアンチマルウェアを使っていらしゃる場合は、そのソフトのブロックを解除してあげるか White list に追加するといいでしょう。

これで共有ができましたか?

AzureAD の場合

さて、本題です。

AzureAD でログインしたUserにおいては、そのままでは Shared Drives が失敗します。*2Driveのシェアを実行 > 認証を入力 > 数秒で Share がはずれる。という状態です。

ログを見ると原因がわかります。

[11:19:49.606][NamedPipeClient][Info   ] Sending Version()...
[11:19:49.607][NamedPipeClient][Info   ] Received response for Version
[11:19:49.607][NamedPipeServer][Info   ] Version()
[11:19:49.608][NamedPipeClient][Info   ] Sending Mount(C, AzureAD\UserName:**********, Docker.Core.Settings)...
[11:19:49.607][NamedPipeServer][Info   ] Version done in 00:00:00.
[11:19:49.609][NamedPipeServer][Info   ] Mount(C, AzureAD\UserName:**********, Docker.Core.Settings)
[11:19:49.629][SambaShare     ][Info   ] Mount C
[11:19:49.679][Cmd            ][Info   ] この共有リソースは存在しません。
[11:19:49.679][Cmd            ][Info   ] NET HELPMSG 2310 と入力すると、より詳しい説明が得られます。
[11:19:49.681][SambaShare     ][Info   ] "C" is not shared
[11:19:49.681][SambaShare     ][Info   ] Creating share "C:\" as "C" with Full Control to "AzureAD\UserName"
[11:19:49.740][Cmd            ][Info   ] C が共有されました。
[11:19:49.777][Cmd            ][Info   ] 共有名             C
[11:19:49.777][Cmd            ][Info   ] パス               C:\
[11:19:49.777][Cmd            ][Info   ] 注釈
[11:19:49.777][Cmd            ][Info   ] 最大ユーザー数     制限なし
[11:19:49.777][Cmd            ][Info   ] ユーザー
[11:19:49.777][Cmd            ][Info   ] キャッシュ         キャッシュは無効
[11:19:49.778][Cmd            ][Info   ] アクセス許可       AzureAD\UserName, FULL
[11:19:49.778][Cmd            ][Info   ] コマンドは正常に終了しました。
[11:19:49.780][SambaShare     ][Info   ] "C" is shared
[11:19:50.700][SambaShare     ][Info   ] Username: UserName
[11:19:50.700][SambaShare     ][Info   ] Host IP: 10.0.75.1
[11:19:50.700][SambaShare     ][Info   ] Cifs options: noperm,iocharset=utf8,nobrl,mfsymlinks,vers=3.02,domain=AzureAD
---- 中略 ----
[11:19:52.190][SambaShare     ][Error  ] Unable to mount C drive: 10.0.75.1 (10.0.75.1:445) open
umount: can't unmount /c: No such file or directory
umount: can't unmount /C: No such file or directory
rmdir: '/c': No such file or directory
rmdir: '/C': No such file or directory
mount error(13): Permission denied
Refer to the mount.cifs(8) manual page (e.g. man mount.cifs)
mount: mounting //10.0.75.1/C on /c failed: Invalid argument

[11:19:52.192][SambaShare     ][Info   ] Removing share C
[11:19:52.244][SambaShare     ][Info   ] Mount C
[11:19:52.273][Cmd            ][Info   ] この共有リソースは存在しません。
[11:19:52.273][Cmd            ][Info   ] NET HELPMSG 2310 と入力すると、より詳しい説明が得られます。
[11:19:52.275][SambaShare     ][Info   ] "C" is not shared
[11:19:52.275][SambaShare     ][Info   ] Creating share "C:\" as "C" with Full Control to "UserName"
[11:19:52.300][ApiProxy       ][Info   ] proxy >> GET /images/sha256:9e4f13a0901e7cdc0c16babf4ebec822828ecae42947c79b69c51e2e22e0470e/json
[11:19:52.300][ApiProxy       ][Info   ] Dial Hyper-V socket 45ef270d-7ba5-4a0c-9633-f0d79d3b0f30:23a432c2-537a-4291-bcb5-d62504644739
[11:19:52.300][ApiProxy       ][Info   ] Successfully dialed Hyper-V socket 45ef270d-7ba5-4a0c-9633-f0d79d3b0f30:23a432c2-537a-4291-bcb5-d62504644739
[11:19:52.302][ApiProxy       ][Info   ] proxy << GET /images/sha256:9e4f13a0901e7cdc0c16babf4ebec822828ecae42947c79b69c51e2e22e0470e/json
[11:19:52.309][Cmd            ][Info   ] システム エラー 1332 が発生しました。
[11:19:52.309][Cmd            ][Info   ] アカウント名とセキュリティ ID の間のマッピングは実行されませんでした。
[11:19:52.311][SambaShare     ][Error  ] Failed to create share "C:\" as "C" with Full Control to "UserName" with code: 2
[11:19:52.341][Cmd            ][Info   ] この共有リソースは存在しません。
[11:19:52.343][NamedPipeClient][Info   ] Received response for Mount
[11:19:52.341][Cmd            ][Info   ] NET HELPMSG 2310 と入力すると、より詳しい説明が得られます。
[11:19:52.343][SambaShare     ][Info   ] "C" is not shared
[11:19:52.343][NamedPipeServer][Info   ] Mount done in 00:00:02.7347295.
[11:19:52.449][ApiProxy       ][Info   ] proxy >> GET /images/sha256:9e4f13a0901e7cdc0c16babf4ebec822828ecae42947c79b69c51e2e22e0470e/json
[11:19:52.449][ApiProxy       ][Info   ] Dial Hyper-V socket 45ef270d-7ba5-4a0c-9633-f0d79d3b0f30:23a432c2-537a-4291-bcb5-d62504644739
[11:19:52.449][ApiProxy       ][Info   ] Successfully dialed Hyper-V socket 45ef270d-7ba5-4a0c-9633-f0d79d3b0f30:23a432c2-537a-4291-bcb5-d62504644739
[11:19:52.450][ApiProxy       ][Info   ] proxy << GET /images/sha256:9e4f13a0901e7cdc0c16babf4ebec822828ecae42947c79b69c51e2e22e0470e/json

原因は アカウント名とセキュリティ ID の間のマッピングは実行されませんでした。 がまさにそれです。要は no mapping between security id ですが、Windows においてこれは Security上の アクセスIdが一致していないことを示します。一度 C: とドライブ共有できているにもかかわらず、なのがなかなか厄介です。 何がセキュリティIdと違うのかというと、 認証時に AzureAD ログインしているときに入れないといけない AzureAD\ が原因です。では、ということで AzureAD\ を除いてユーザー名のみにすると、そんなIdはないので共有自体が失敗します。セキュリティIdが一致していない、厄介。AzureAD で Windows ログインすることはかなり快適なのですが、こういう問題はたびたびあります。

問題がわかれば対処方法が思いつきます。

対処方法は、AzureAD\UserName の UserName だけの ローカルユーザーを作りましょう。ユーザー作成後、Administrators を与えます。これで、AzureAD\UserName で共有後に、UserName も見つかるので正常にドライブ共有が可能になります。

PowerShell ならこうです。

# ここでポップアップがでるので、追加したいユーザーのUsername と Password をいれます。
$credential = Get-Credential
New-LocalUser -AccountNeverExpires -PasswordNeverExpires -UserMayNotChangePassword -Name $credential.UserName -Password $credential.Password
Add-LocalGroupMember -Group Administrators -Member $credential.UserName

もしGUI でやりたい場合、UserName をご自身のユーザー名に置き換えてください

参考

*1:管理者権限がいります。ADならDomainAuthenticated なので問題ないはずですが Firewall ルールが問題になる可能性はあります

*2:私は5度やって5度失敗したのでそういうものでしょう

PowerShell の配列表現と生成処理時間

面白い記事があります。

blog.shibata.tech

PowerShell において配列生成は 言語仕様上にある通りカンマ演算子 , によって表現されるものであり、ASTでも満たされている。しかし、そこに言及がなく ()$()@() で生成しているような表現を見かけるけど実は違うんだよ。ということが説明されています。とはいえ、@() で囲むことに意味はあるので注意なのですが。

tech.guitarrapc.com

さて、結果としてみるとどの表現でも配列が生成されます。が、AST を見てもそれぞれ違うことから「表現可能な方法が複数ある場合にどれを使うのがいいのか」を考えてみましょう。

目次

PowerShell の構文木 AST を見る

もし PowerShell の AST が見たい場合は、ShowPSAst でモジュールを入れておくといいでしょう。

# 今のユーザーにのみ導入する
Install-Module ShowPSAst -Scope CurrentUser

github.com

配列の生成

今回は、ベンチマークでは単純に配列評価の時間を測定したいため、配列の生成は事前に文字列を起こしておきましょう。

以下のようにすると配列が生成できます。

gist.github.com

これで2種類の配列文字列が取得できたので準備ok です。

1,2,3,4,5,....

1
,2
,3
,4
,5
....

ベンチマークの測定対象

それではベンチマークを測ってみましょう。

測定対象として選んだのは記事にあった表現とその派生です。

  1. ArrayLiteralAst : カンマ演算子, による配列の生成 = 最速の予定
    • 1,2,3
  2. ParenExpressionAst + ArrayLiteralAst : () で カンマ演算子 , による配列の生成のラップ
    • (1,2,3)
  3. ArrayExpressionAst + ArrayLiteralAst : @() でカンマ演算子 , による配列の生成のラップ
    • @(1,2,3)
  4. SubExpressionAst + ArrayLiteralAst : $() でカンマ演算子 , による配列の生成のラップ
    • $(1,2,3)
  5. (ArrayExpression + ArrayLiteralAst) * PipelineOutput : @() でカンマ演算子 , による配列の生成のラップした結果をパイプラインでマップ
    • @(1,2,3) | % {$_}
  6. Constraints + ArrayLiteralAst : @() で生成した中身を前置カンマにしました
@(
1
,2
,3)

ベンチマーク結果

1000回実行したっけの平均/最大/最小を見ます。単位は ms です。

PowerShell でのベンチマークは、今回簡易に Measure-Command を用いました。

Code Target Count Average Maximum Minimum
1,2,3 ArrayLiteralAst 1000 6.72703 76.897 1.109
(1,2,3) ParenExpressionAst + ArrayLiteralAst 1000 6.70472 77.452 1.0702
@(1,2,3) ArrayExpressionAst + ArrayLiteralAst 1000 7.020254 185.7868 1.0828
$(1,2,3) SubExpressionAst + ArrayLiteralAst 1000 7.59060 85.0647 1.4674
前述参照 (ArrayExpression + ArrayLiteralAst) * PipelineOutput 1000 75.666 234.0299 52.0301
前述参照 Constraints + ArrayLiteralAst 1000 8.67313 195.6095 6.1331

いかがでしょうか? 予想通りですか?

ArrayLiteralAst

さすがに Average / Maximum / Minimum のいずれにおいても安定して最速です。

ArrayLiteralAst だけの場合、次のAST評価となっています。

# AST  : {1,2,3} | Show-Ast
# Eval : ScriptBlockAst > NameBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst > [ArrayLiteralAst] > ConstantExpressionAst(s)

ParenExpressionAst + ArrayLiteralAst

こちらも ArrayLiteralAst のみと比較して、ParenExpressionAst + ArrayLiteralAst では、() で括った分一段要素が増えます。一方で実行速度にはほとんど差がなく、() は評価の軽い要素であるのが明確です。

# AST  : {(1,2,3)} | Show-Ast
# Eval : ScriptBlockAst > NameBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst > [ParenExpressionAst] > PipelineAst > CommandExpressionAst > [ArrayLiteralAst] > ConstantExpressionAst(s)

ArrayExpressionAst + ArrayLiteralAst

Maximum 測定誤差がでたと考えられます。次のAST評価となっています。 ArrayExpressionAst + StatementBlock + CommandExpressionAst が増えていることからもそこそこ評価が増えてきました。が誤差レベルですね。

# AST  : {@(1,2,3)} | Show-Ast
# Eval : ScriptBlockAst > NameBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst > [ArrayExpressionAst] > StatementBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst > ArrayLiteralAst > ConstantExpressionAst(s)

SubExpressionAst + ArrayLiteralAst

こちらは、Minimum が少し大きいですが同様に誤差でしょう。

部分式は多用するのですが、AST評価を見ても [SubExpressionAst] > StatementBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst となっており、ArrayExpressionAst とだいたい同様ですね。こちらも気にしなくてよさそうです。

# AST  : {$(1,2,3)} | Show-Ast
# Eval : ScriptBlockAst > NameBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst > [SubExpressionAst] > StatementBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst > ArrayLiteralAst > ConstantExpressionAst(s)

(ArrayExpression + ArrayLiteralAst) * PipelineOutput

原因は明らかで パイプラインです。ASTを見ても明らかに要素数が多くなることが分かります。パイプラインほんと重いんですよね。配列を生成するためにこの利用は避けましょう。

# AST  : {@(1,2,3) | % {$_}} | Show-Ast
# Eval : ScriptBlockAst > NameBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst > [ArrayExpressionAst] > StatementBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst > ArrayLiteralAst > ConstantExpressionAst(s)
#                                                             | > CommandAst 
#                                                                         | > StringConstantExpressionAst
#                                                                         | > ScriptBlockExpressionAst > ScriptBlockAst > NamedBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst > VariableExpressionAst

Constraints + ArrayLiteralAst

最初の要素 1 のみ 速やかに ConstantExpressionAst として評価されています。しかし後続は前置のカンマによってシングル要素の配列 とAST評価されてしまいArrayLiteralAst とついています。AST評価を見てみると明らかですね。

# AST  : {@(
# 1
# ,2
# ,3)
# } | Show-Ast
# Eval : ScriptBlockAst > NameBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst > [ArrayExpressionAst] > StatementBlockAst > PipelineAst > CommandExpressionAst > [ConstantExpressionAst]
#                                                                                                                    | > PipelineAst(s) > CommandExpressionAst > [ArrayLiteralAst] > ConstantExpressionAst
#                                                                                                                    | > PipelineAst(s) > CommandExpressionAst > [ArrayLiteralAst] > ConstantExpressionAst

まとめ

特に制約がない時に書くなら、すなおに , でくくるのみにするか () で括るのが良さそうです。

$a = 1,2,3
$b = (1,2,3)

String Interporation のような文字列埋め込みに使う 表現も悪くはなさそうです。

$c = "$(1,2,3)" // "1 2 3" となる

良く紹介される形も明らかな齟齬はなさそうです。

$d = @(1,2,3)

ただしパイプライン、お前はだめだ。

$e = @(1,2,3) | % {$_}

ベンチマークコード全体

コードを置いておきます。参考になれば幸いです。

https://gist.github.com/guitarrapc/8a89dc9438673871a71649ab8315e0e8

PowerShell のAPIデザインガイドライン

この記事は、PowerShell Advent Calendar 2017 5日目の記事です。

qiita.com

昨日は @atworks さんの PSRemoting を用いたリモートプロセス実行でした。 qiita.com

3日目の前回 PowerShell のコーディングスタイルについて触れました。

tech.guitarrapc.com

次は、残りのAPI デザインを見てみましょう。

※ 2回に分けて書きましたが個人的には個人/チームが書きやすいようにすればいい話だと思っています。しかし、「曖昧だった基本的な指針がわからず困ってた方」にとって、ベストプラクティスはいい材料となると思います。PowerShell コミュニティは結構活発なので、コミュニティの中で皆様がよい PowerShell 生活を送られることを祈っています。

目次

C#のデザインガイド

Required Development Guidelines

https://msdn.microsoft.com/en-us/library/dd878238.aspx

Design Guidelines と Coding Guidelines がありますが、Design Guidelinesのみ触れます。

Design Guidelines Use Only Approved Verbs (RD01)

  • PowerShell の Cmdlet 規則である Verb-Nown 形式で公開する時に、あらかじめ定義されてある 動詞(Verb) を用いましょう
  • 動詞は用途ごとにクラス分離されているので、適切なものを使うといいです
    • VerbsCommon
    • VerbsCommunications
    • VerbsData
    • VerbsDiagnostic
    • T:System.Management.Automation.VerbsLifeCycle
    • VerbsSecurity
    • VerbsOther
  • どの動詞をいつ使うかのガイドラインも公開されています

(Design Guidelines) Cmdlet Names: Characters that cannot be Used (RD02)

  • Cmdlet には用いることができない特殊文字があります。その一覧を示しています
  • 私は基本的にアルファベットのみ用いるようにすることで沿えるので単純にそう捉えています
  • Parameters Names that cannot be Used (RD03)
  • PowerShell Cmdlet のパラメータには予約語があります。それを避けるようにしましょう
  • Confirm, Debug, ErrorAction, ErrorVariable, OutBuffer, OutVariable, WarningAction, WarningVariable, WhatIf, UseTransaction, and Verbose

(Design Guidelines) Support Confirmation Requests (RD04)

  • もしシステム変更を伴う操作を提供する場合は、PowerShell が持っている 確認機構を用いることをさしています
    • いわゆる ShouldProcess を指しています

(Design Guidelines) Support Force Parameter for Interactive Sessions (RD05)

  • 対話的実行を提供する場合に、Force パラメータは提供しましょう
  • これは PowerShell が自動化を念頭に置かれた言語なため、対話実行でそれを妨害することを防ぐためです
    • 以下のような操作が特に注意です
    • Prompt
    • PSHostUserInterface.PromptForChoice
    • IHostUISupportsMultipleChoiceSelection.PromptForChoice
    • Overload:System.Management.Automation.Host.PSHostUserInterface.PromptForCredential
    • ReadLine
    • ReadLineAsSecureString

(Design Guidelines) Document Output Objects (RD06)

  • 出力の記述です
  • C# のドキュメントXML で説明を公開するといいです

Strongly Encouraged Development Guidelines

次は強く要請するガイドラインです。

https://msdn.microsoft.com/en-us/library/dd878270.aspx

Design Guidelines と Coding Guidelines がありますが、Design Guidelinesのみ触れます。

(Design Guidelines) Use a Specific Noun for a Cmdlet Name (SD01)

Server のような汎用的な言葉ではなく、操作対象を明示した Process のような命名が好まれます。

(Design Guidelines) Use Pascal Case for Cmdlet Names (SD02)

  • Cmdlet 名は、PascalCase で表現しましょう。Clear-ItemProperty のほうが clear-itemProperty より好ましいです

(Design Guidelines) Parameter Design Guidelines (SD03)

  • 標準的なパラメータ名が公開されているのでここにあるものはそれを利用しましょう
    • たとえば、名前ならName、出力なら Output といった具合です
    • ただ、処理によっては ServiceName のようなより明示的な名前も提供したい場合があるでしょう。その場合は、パラメータ用プロパティにAlias属性 を用いることで [Alias("ServiceName")]のように表現できます
  • 単一要素を受けるパラメータには単数名を用いて表現しましょう
    • もし-es のような複数名を用いる場合は、そのbパラメータがいつでも複数要素を受け入れる場合にしましょう
  • パラメータはPascalCaseで。C# であれば Property を用いるので、C# デザインガイドと同じで違和感はないかと思います
    • errorAction や erroraction より、ErrorAction が好ましいです
  • パラメータの組み合わせで操作が変わる Cmdlet を提供する場合2つの方法があります
    • enum を用いて、enumごとに操作を分岐し パラメータを処理する方法
    • ValudateSet属性.aspx) を用いて、パラメータの入力を制約する方法
    • 私の経験上、複数の操作を提供する Cmdlet は作りたくなります。パラメータ1つだけが特定のパラメータ時に用いないようなの「単純な組み合わせ」であれば、ValidateSet が楽でしょう。が、複数の パラメータの組み合わせを ParameterSet で表現するのはおススメしません。Cmdlet を分離することを検討するといいでしょう
  • パラメータ名にはStandard Type を用いましょう
    • あらかじめ、どんな用途(Activity) にどんなパラメータが期待されるのかリストされています
    • Append など利用者が直感的に利用しやすい API デザインとして一貫性を保つため、該当するものを利用するといいでしょう
  • 強く型付けされた .NET Framework 型を利用する
    • Object を利用するということは、型に対する意識が強いということです
    • .NET Framework の型を意識して利用すると適切な型が入ることがほしょうされるため、よいでしょう
    • たとえば、URI には Uri 型を用いれば、String 型が入ってこないことを保証できます
  • パラメータの型に首尾一貫性をもたせる
    • たとえば、Process パラメータというのにInt16 型を当てた場合、他のCmdlet の Process パラメータで Uint16 を用いるのは避けましょう
    • 利用者の直感に反するので触り心地に大きく影響します
  • true/false をとるパラメータは避けて、Switch Parameter を用いましょう
  • Switch Parameter は、もし利用していれば true、なければ false とみなします
  • もし 3値 (true, false, Unspecified) が必要な場合は、Nullable<bool> が適切でしょう
    • 個人的に、Unspecified と null を合わせるのが適切なのかは一考の余地があります
  • 可能であれば、パラメータに配列を許容しましょう
    • 例えば Get-Process は Name に String配列を許容します
    • 利用者の使い心地として、複数回 Cmdlet を実行するより、1回で済む方がうれしいことは多いでしょう
  • PassThru パラメータのサポートを検討しましょう
    • Stop-Process のような値を返さない Cmdlet (Void型) であっても、時に結果オブジェクトが必要です
    • こういった場合に、PassThru パラメータを与えることで、結果オブジェクトを返すオプションを提供しましょう
    • Add, Set, New といった Verb の Cmdlet はサポートしているものが多いです
  • ParameterSet のサポート
    • Cmdlet は1つの目的のために作ります
    • が、時に1つの操作を複数の表現で呼べることがあるでしょう。つまり、パラメータの組み合わせということです
    • このパラメータの組み合わせの表現に、ParameterSet を用いることが多いです
    • ParameterSet を用いる場合、DefaultParameterSetCmdlet 属性に指定しましょう

(Design Guidelines) Provide Feedback to the User (SD04)

ユーザーは実行中ただ待つのは苦痛です。実行に対して何かしらのフィードバックを返しましょう。

  • WriteWarning, WriteVerbose, WriteDebug メソッドのサポート

    • もし意図しない結果が起こった場合は、WriteWarning メソッドで結果をユーザーに伝えましょう
    • もしユーザーがさらなる詳細情報を求める場合、WriteVerbose で結果を返しましょう。例えば、実行シナリオが意図した状態になっているかを伝えることもいいでしょう
    • 開発者がプロダクトサポートのために必要とする情報は、WriteDebug メソッドで返すといいでしょう
  • 長時間実行時の WriteProgress サポート

    • 長時間実行する場合、進捗を WriteProgress メソッドで表示するといいでしょう
  • Host Interface を用いた対話実行

    • 時に ShouldProcess 以外に、Host を通してユーザーとやり取りをする必要に迫られます。そんなときに Host プロパティを用いましょう
    • たとえば、PromptForChoiceWriteLine/ReadLine などです
    • もしCmdlet が GUI を生成しないなら、Out-GridView Cmdlet の利用も検討できます
    • また Cmdlet は、Console API は利用すべきではありません
  • Cmdlet ヘルプファイルの生成

    • Help.xml ファイルで、Cmdlet のヘルプを伝えることができます

(Design Guidelines) Advisory Development Guidelines

アドバイスとしてのガイドラインです。

https://msdn.microsoft.com/en-us/library/dd878291.aspx

Design Guidelines と Coding Guidelines がありますが、Design Guidelinesのみ触れます。

適用時は、Code Guideline も参考にしてください。

(Design Guidelines) Support an InputObject Parameter (AD01)

  • 特定の操作で良く用いられる名前があります。InputObject です
  • パイプラインからの入力をサポートしてプロセッシングするパラメータ名によく用いられ、.NET Framework のオブジェクトを取り扱います

(Design Guidelines) Support the Force Parameter (AD02)

  • Force パラメータを用いたユーザーの権限処理や対話を操作できるようにしましょう
  • Remove-Item Cmdlet の場合、通常は readonlyファイルを消せません。しかしForce パラメータを用いることで消すことができます
    • しかし、もしユーザーがそもそもそのファイルにアクセスする権限がない場合、Force をつけても何ら変わらず「失敗」します

(Design Guidelines) Handle Credentials Through Windows PowerShell (AD03)

  • Credential パラメータをサポートし魔装。このパラメータは PSCredential型を受け認証を処理することが期待されます
  • このサポートにより、ユーザーに対して自動的にポップアップを表示し、ユーザー名やパスワード入力ができるようになります
  • Credential パラメータには、Credential属性をあてます

Support Encoding Parameters (AD04)

  • テキストやバイナリを扱うときは、Encoding パラメータをサポートします

Test Cmdlets Should Return a Boolean (AD05)

  • Test- とつく Cmdlet は Boolean を返すことが期待されます

PowerShell のデザインガイド

実は、コーディングスタイルに含まれてしまっている部分が強いので、API デザインとしては存在しません。

ただし、Best Practice が存在します。

github.com

一度目を通してみると面白いのではないでしょうか?

  • Naming Conventions
  • Building Reusable Tools
  • Output and Formatting
  • Error Handling
  • Performance
  • Security
  • Language, Interop and .Net
  • Metadata, Versioning, and Packaging

ざくっと上げます。PURE とあるものは、議論の余地があるため記載しません。

Building Reusable Tools

再利用性に注目しています。

TOOL-01 Decide whether you're coding a 'tool' or a 'controller' script

  • 自分がツールを作ろうとしているのか、ツールの操作を作ろうとしているのか意識しましょう
    • なにかをするためのツールとして書かれている場合、re-usable でしょう
    • ツールをビジネスロジックに合わせて「操作」するために書かれている場合、re-usable ではないと考えられます

TOOL-02 Make your code modular

  • 処理を、関数にすることで、re-usable になります

TOOL-03 Make tools as re-usable as possible

  • 入力をパラメータで受け取り、パイプラインに出力する
  • この仕組みは re-usable さが最大限高まります

TOOL-04 Use PowerShell standard cmdlet naming

  • PowerShell の標準のネーミングをしましょう
  • Verb-Noun大事。Get-Verb Cmdlet で標準の Verb 一覧が見れます

TOOL-05 Use PowerShell standard parameter naming

  • 標準のパラメータ名を用いましょう

TOOL-06 Tools should output raw data

  • ツールの場合、Cmdlet の処理中に、データをなるべく触らず生で出力することをコミュニティとしては期待することが多いです
  • もし出力データを操作する場合でも、最小限にとどめましょう。そうすることで、多くのシーンで re-usable になります

TOOL-07 Controllers should typically output formatted data

  • 操作する場合、re-usable は主眼ではないので適切にわかるデータにフォーマットして返しましょう

WAST-01 Don't re-invent the wheel

  • 車輪の再発明だめ
  • 下の例は、Test-Connection $computername -Quiet で表現できます
function Ping-Computer ($computername) {
    $ping = Get-WmiObject Win32_PingStatus -filter "Address='$computername'"
    if ($ping.StatusCode -eq 0) {
        return $true
    } else {
        return $false
    }
}

WAST-02 Report bugs to Microsoft

  • バグは共有しよう

Output and Formatting

出力に関してです。

Don't use Write-Host unless you really mean it

  • Write-Host だめ。良く言われますね。Host にしか出力しないので、「見せるためだけ」「フォーマットするだけ」に利用しましょう
  • 特に Show Verb を使っていたり、Format Verb を使っている関数を書いた時にしか、使わないぐらいがいいです
  • なるべく他のWrite-* Cmdlet の利用を検討してください

Use Write-Progress to give progress information to someone running your script

  • ユーザーに何かしら進捗を示すとき Write-Progress が最適です
  • ただし、パイプライン上のなんでも流せばいいというものではありません。伝えたいことにしぼりましょう

Use Write-Debug to give information to someone maintaining your script

  • スクリプトのメンテナンスをする人に向けて、Write-Debug でメッセージを送ってください
  • $DebugPreference = "Continue" とすることで、Breakpoint で止まらず結果をみることもできます

Use CmdletBinding if you are using output streams

  • [CmdletBinding()] を使うだけで、出力ストリームを操作する -Verbose などが利用できるようになります

Use Format Files for your custom objects

  • カスタム型を使う場合は、modulename.format.ps1xml を使ってフォーマットを検討してください

Only output one "kind" of thing at a time

  • 1つの関数で、複数の型を返すことを避けてください
  • [OutputType()] で伝える型とのずれが生じるのは相当なコストをユーザーに強いることになります

Two important exceptions to the single-type rule

  • もし内部関数の場合は、複数の型を返すのはありです
    • $user, $group, $org = Get-UserGroupOrg のように分けて受け取れます
  • もし複数の型を返す場合、個別に Out-Default に包んで返すことでフォーマットが混在することを避けられます

Error Handling

エラー処理です。

ERR-01 Use -ErrorAction Stop when calling cmdlets

  • Cmdlet の呼び出し時は、-ErrorAction Stop をつけてエラー時に捕まえましょう

ERR-02 Use $ErrorActionPreference='Stop' or 'Continue' when calling non-cmdlets

  • Cmdlet ではない場合、呼び出し前に $ErrorActionPreference='Stop' を実行し、呼び出し後に$ErrorActionPreference='Continue' に戻しましょう
  • 特に自動化時に適切にエラーで止めることは重要です

ERR-03 Avoid using flags to handle errors

  • フラグで失敗制御はしないでください
try {
    $continue = $true
    Do-Something -ErrorAction Stop
} catch {
    $continue = $false
}

if ($continue) {
    Do-This
    Set-That
    Get-Those
}
  • try, catch で制御しましょう
    Do-Something -ErrorAction Stop
    Do-This
    Set-That
    Get-Those
} catch {
    Handle-Error
}

ERR-04 Avoid using $?

  • $? の利用は避けましょう
  • これはエラーが前回のコマンドで発生したか示すものではなく、前回のコマンドが成功したかみるだけです。この結果に関しては、ほぼ意味がないでしょう

ERR-05 Avoid testing for a null variable as an error condition

  • null チェックを全部いれるとかやめましょう

ERR-06 Copy $Error[0] to your own variable

  • 直前のエラーが $Error[0] に収められています。catch 句の $_ も同様です
  • ただ、次のエラーですぐに上書きされるので必要なら変数にいれてください
    • $Error 配列に過去のものは入っています

Performance

PERF-01 If performance matters, test it

  • PowerShell のパフォーマンスは、妙なくせだらけです
  • パフォーマンスかな、とおもったらテストしましょう
  • たとえば、以下の例なら2つ目が早いです
[void]Do-Something
Do-Something | Out-Null
  • いくつか方法が思いつく場合、計測しましょう

PERF-02 Consider trade-offs between performance and readability

  • パフォーマンスと読みやすさはトレードオフな場合があることを考慮してください
  • 例えば、式で表現とパイプラインで表現でも変わります
$content = Get-Content file.txt

ForEach ($line in $content) {
  Do-Something -input $line
}
Get-Content file.txt |
ForEach-Object -Process {
  Do-Something -input $\_
}

あるいは、.NET Framework を直接触ることでも変わります。

$sr = New-Object -Type System.IO.StreamReader -Arg file.txt

while ($sr.Peek() -ge 0) {
   $line = $sr.ReadLine()
   Do-Something -input $line
}

さらにこんな書き方もあるでしょう。

$handle = Open-TextFile file.txt

while (-not Test-TextFile -handle $handle) {
    Do-Something -input (Read-TextFile -handle $handle)
}
  • どれがいいかといえば、なるべく PowerShell に沿った書き方が読みやすいでしょう。が、基本的には .NET Framework のラッパーにすぎません
  • いくつものパターンがある中から、パフォーマンスとご自身の美学に沿って選択してください

Security

Always use PSCredential for credentials/passwords

  • Credential や パスワードには、PSCredentail を使います
  • SecureString でパスワードが保持されるため、基本的にこれを使いましょう
param (
    [System.Management.Automation.PSCredential]
    [System.Management.Automation.Credential()]
    $Credentials
)
  • どうしても生パスワードを、そこから拾う必要がある場合、メソッドから取得しましょう。なるべくさけてください
$Credentials.GetNetworkCredential().Password

Other Secure Strings

  • 他にも、Read-Host -AsSecureString でも SecureString を受け取ることgあできます
  • 万が一 SecureString を String にする必要があるなら、ZeroFreeBSTRE を用いてメモリリークを抑えてください
    # Decrypt a secure string.
    $BSTR = [System.Runtime.InteropServices.marshal]::SecureStringToBSTR($this);
    $plaintext = [System.Runtime.InteropServices.marshal]::PtrToStringAuto($BSTR);
    [System.Runtime.InteropServices.Marshal]::ZeroFreeBSTR($BSTR);
    return $plaintext
  • もしディスクに認証を保持する必要がある場合、Export-CliXml を使ってパスワードを守ってください
    # Save a credential to disk
    Get-Credential | Export-CliXml -Path c:\creds\credential.xml

    # Import the previously saved credential
    $Credential = Import-CliXml -Path c:\creds\credential.xml
  • さらにもし、String がセンシティブでディスクに保持する必要がある場合は、ConvertFrom-SecureString で暗号化してください。ConvertTo-SecureString で戻すことができます。Windows Data Protection API (DPAPI)をつかっているため、同一Windowsマシンの同一ユーザーでのみ Decrypt できるので注意です。処理として、AES 共通鍵での暗号化もサポートしています
   # Prompt for a Secure String (in automation, just accept it as a parameter)
    $Secure = Read-Host -Prompt "Enter the Secure String" -AsSecureString

    # Encrypt to Standard String and store on disk
    ConvertFrom-SecureString -SecureString $Secure | Out-File -Path "${Env:AppData}\Sec.bin"

    # Read the Standard String from disk and convert to a SecureString
    $Secure = Get-Content -Path "${Env:AppData}\Sec.bin" | ConvertTo-SecureString

Language, Interop and .Net

VER-01 Write for the lowest version of PowerShell that you can

  • サポートする、もっとも低い PowerShell バージョンのために書いてください
  • ただし、新しいほどパフォーマンスメリットがあったりします
  • たとえば、PoweShell v3 では2番目の書き方のほうがかなり高速化されます
Get-Service | Where-Object -FilterScript { $\_.Status -eq 'Running' }
Get-Service | Where Status -eq Running

VER-02 Document the version of PowerShell the script was written for

  • #requires -version 3.0 といった形でサポートしているバージョンを明記してください
  • Module の場合、PowerShellVersion = '3.0' とマニフェストの psd1 に設定することで表明できます

余談 : 個人的に注意していること

私が特に多くの人から苦しいと耳にすることで、個人的に気を付けているものは次のものです。だいたい記事にしていたので参考にしていただけると幸いです。

  • [Object]型デフォルトに起因する型をつかった操作が影響受けやすいこと

tech.guitarrapc.com

  • $null の扱い

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winscript.jp

  • パイプラインを通したときの実行速度と式の違い

tech.guitarrapc.com

tech.guitarrapc.com

  • 型の明示をしない場合の暗黙の型変換 (左辺合わせ)

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  • 単一要素配列が返却時に自動的なアンラップがかかる

tech.guitarrapc.com

  • より安全に書くためには StrictMode の利用がいいでしょう

blog.shibata.tech

まとめ

PowerShell Script で書く場合も、C# で書く場合と同じように気を付ければ問題なさそうです。

特に、パラメータ入力、パイプラインが最も入り組んでいる印象が強いです。独自の構文$? はコンソールでの入力以外は使わないんですよねぇ。実際、私はほぼ使わないです。

PowerShell も .NET に限らず、一般的なプログラミング言語のやり方が生きます。言語自体の構文サポートの弱さやなど癖がありますが、ゆるく付き合うといいでしょう。

PowerShell のコーディングスタイル

この記事は、PowerShell Advent Calendar 2017 3日目の記事です。

qiita.com

新しい言語を触るときに気になるのが、その言語はどのように書くことを意図しているのかです。私が触ってきた言語の多くは「その言語の考えの基本」となるものを持っており、コーディングガイドライン上でもそれを明示していることが多いように思います。

PowerShell はどうなのでしょうか? 今回はPowerShell ではどのようなコーディングスタイル (本記事ではコーディング規則も同じ意味で用います)で書くといいのかを考えてみたいと思います。

思いのほか記事内容がながくなってしまったので、結論だけ見たい方は まとめ をどうぞ

※ 決してこの記事の内容が絶対正しいと思っていません。みなさんが書いていく中でどうすればいいのか、と思ったときの良いヒントになることを願っています。

軽い記事を書くつもりが大きくなりすぎたので、コーディングスタイルは主語が大きすぎということを感じました。補完しあう内容となる APIデザインも5日目に書きました。

tech.guitarrapc.com

目次

コーディングスタイル

ここでは言語を設計した側が意図している、あるいはコミュニティの中で共通認識として持っているものを指して考えたいと思います。

各開発チームごとにルールは別に設けられることもあるので、そこには触れません。言語として意図している、言語的にこうするといいとコミュニティの合意が取れている例と考えると読みやすいのでしょうか。優しい世界の優しいやり方に努めたいと思います。

さて、PowerShell に入る前に他の言語の例から見てみましょう。いろんな言語で、それぞれの考えがあって素敵です。

他言語の例 : C#

Microsoft が出しているコーディングガイドラインがあります。そこには次のようにコーディング規則の意義を説明しています。

C# 言語仕様では、コーディング標準は定義されていません。 ただし、このトピックのガイドラインは、サンプルおよびドキュメントを開発するためにマイクロソフトによって使用されます。 コーディング規則には、次の目的があります。 コードの見た目が統一されるため、コードを読むときに、レイアウトではなく内容に重点を置くことができます。 これにより、経験に基づいて推測することで、コードをより迅速に理解することができます。 コードのコピー、変更、および保守が容易になります。 コーディング規約により、C# のベスト プラクティスがわかります。

合わせて .NET Framework の API デザインにおける名前付けのガイドラインもあります。

.NET Framework 、特に C# を書き始める、どんなガイドラインで書けばいいか困ったなぁという時には .NETのクラスライブラリ設計 が非常に良い内容だと思っています。今は書籍が絶版で Kindle 版のみです。内容はAPIデザインガイドという意味で、他言語を扱うときにも参考になっていると感じます。

.NETのクラスライブラリ設計

C# のインデントスタイル は、 Allman Style で紹介されています。

他言語の例 : Swift

Swift にも、API Design Guidelines としてガイドラインがあります。

swift.org

Swift がGithub上でオープンに開発される中で、いくつかの Proposal は 検討の末リジェクトされていますが、それら理由にはガイドラインからの引用も多く見られます。徹底されているの素晴らしいです、ね。

Github/Swift - Commonly Rejected Changes

qiita.com

特に、「明瞭さは簡潔さよりも重要です」としたガイドラインは、Swift を書く上で自然と意識します。コミュニティの発信する情報も、多くがガイドラインに沿う努力がなされているように思います。

Clarity is more important than brevity. Although Swift code can be compact, it is a non-goal to enable the smallest possible code with the fewest characters. Brevity in Swift code, where it occurs, is a side-effect of the strong type system and features that naturally reduce boilerplate.

Swift のインデントスタイル は、 K&R 1TBS (OTBS) で紹介されています。このあたりの記事でもその辺が紹介されていますね。

Swift bracing

PowerShell のコーディングスタイル

さて、他言語の例をみたところで、PowerShell にも同様のガイドラインはあるのでしょうか? 答えは「あります」。ただ、PowerShell は Cmdlet(C#) と Script(PowerShell) として記述ができる*3ため長くなってしまいます。

そこで本記事においては、C# で Binary Cmdlet を記述する場合、PowerShell としてFuncion を記述する場合の2面から見てみましょう。

PowerShell Cmdlet を C# で書く場合のコーディングスタイル

まずは、PowerShell の Cmdlet = C# で記述するものとして見てみましょう。このガイドラインは、MSDN にて Microsoft から公開されています。

https://msdn.microsoft.com/en-us/library/dd878270.aspx

中身は、3つに分かれています。

  • Required Development Guidelines : 必須とするガイドライン
  • Strongly Encouraged Development Guidelines : 守ることを強く要請するガイドライン
  • Advisory Development Guidelines : アドバイスとしてのガイドライン

順にみていきましょう。

Required Development Guidelines

必須とするガイドラインです。

https://msdn.microsoft.com/en-us/library/dd878238.aspx

Design Guidelines と Coding Guidelines がありますが、Coding Guidelines のみ触れます。

(Coding Guidelines) Derive from the Cmdlet or PSCmdlet Classes (RC01)

  • PowerShell Cmdlet を C# で書くときに Cmdlet 型 か PSCmdlet 型を継承できます
    • Cmdlet の .NET Framework からの呼び出しの自由さよりも、PSCmdletのRunSpace内での実行を推奨しています
    • ここは若干微妙で、テストしやすさや Windows PowerShell Runtime と Core Runtime のずれがあるので今後の変更もあるかもしれません
  • また Cmdlet は public クラスである必要があります

(Coding Guidelines) Specify the Cmdlet Attribute (RC02)

  • Cmdlet には属性でどのように使うかを表明しましょう
  • verb-and-noun 表明により、公開するクラス名とCmdlet命名規則のずれをカバーできます。C# は クラスを PascalCase としていて、PowerShell はVerb-Noun ですからね!
  • デフォルトパラメータセットの表明やShouldProcessの表明もここで可能です

(Coding Guidelines) Override an Input Processing Method (RC03)

  • PowerShell Cmdlet は入力を3つのプロセスを通して処理します。Begin, Process, End です。これは良く説明されているので、さくっと紹介のみにとどめます
  • Cmdlet.BeginProcessing
    • This method is called one time, and it is used to provide pre-processing functionality
  • Cmdlet.ProcessRecord
    • This method is called multiple times, and it is used to provide record-by-record functionality
  • Cmdlet.EndProcessing
    • This method is called one time, and it is used to provide post-processing functionality

(Coding Guidelines) Specify the OutputType Attribute (RC04)

  • OutputType属性 を用いるといいでしょう
  • この属性を公開することで、パイプラインの先に型が伝搬します。しないと? Object になって、型が伝わらずインテリセンスが絶望的なことになります
  • ただ、PowerShell の Output は関数の返戻値型を強制しないため、ずれることがあるので注意です

(Coding Guidelines) Do Not Retain Handles to Output Objects (RC05)

  • Cmdlet は、WriteObject メソッドで出力をパイプラインに渡すのですが、このメソッドに渡す際にオブジェクトを内部で保持しないようにしましょう。ふつうにリークしたり予期しないエラーの原因になります。だめ

(Coding Guidelines) Handle Errors Robustly (RC06)

  • エラーハンドルです
  • 処理がこれ以上続行できない場合は、ThrowTerminatingErrorメソッドでエラーを返しましょう
    • もし例外が Cmdlet で取得できず漏れてしまった場合、PowerShell ランタイムがターミネートされます。しかもエラー情報 である ErrorRecord オブジェクトの情報が欠落するので意味不明な状況になって使い心地が最悪になります
  • もし処理ターミネートされるエラー出ない場合、ErrorRecord を WriteErrorメソッドに渡してハンドルしましょう
  • 例外の表明に使う ErrorRecord は、.NET GGramework のデザインガイドラインに沿って、すでにあるException で表明できるならそれを使いましょう。もし新規に作る必要があるなら、Exception型を継承する定石に乗ることを推奨します
    • また、Errorrecord は、エラーをグルーピングする ErrorCategory の提供してください
  • Cmdlet がスレッドを生成して、そのスレッドでエラーを起こした場合、PowerShell は例外をキャッチせずPowerShellプロセスをターミネートします。PowerShell でマルチスレッド処理を 書くのが苦しい原因になっていますね
  • もしデストラクタでUnhandled Exception が生じた場合は、PowerShell は例外をキャッチせずPowerShellプロセスをターミネートします。Dispose でUnhandled Exception を起こした時も同様です

(Coding Guidelines) Use a Windows PowerShell Module to Deploy your Cmdlets (RC07)

  • Cmdlet の提供は Module
    • SnapIn とか忘れましょう
    • 私自身 Moduleしか書きません。実際、PowerShell Get でのモジュール提供がインフラとして浸透した今、Module 以外で提供するのはエコシステムからも外れているのでつらいでしょう

Strongly Encouraged Development Guidelines

守ることを強く要請するガイドラインです。

https://msdn.microsoft.com/en-us/library/dd878270.aspx

これもDesign Guidelines と Coding Guidelines がありますが、Coding Guidelines のみ触れます。

(Coding Guidelines) Coding Parameters (SC01)

Parameter と読んでいるものは、public Property[Parameter()] 属性をつけたものが該当します。パラメータは、Static Member である必要がありません。

詳細は、Parameter Attribute Declaration で説明されています。

  • Support Windows PowerShell Paths

    • PSPath のような Normalize されたものを示しています
    • Path は String 型で表明してください
    • Path は、Alias として PSPath を与えてください。[Alias("PSPath") ですね
    • また、Path は ワイルドカード(*) をサポートしてください
      • もし ワイルドカードをサポートしない場合、LiteralPath パラメータとして用意しましょう
      • 個人的には、Path はパスワイルドカードのハンドルは、パス名に [ などのもじが入っていた時に崩れやすいため、LiteralPath のほうが意図した挙動にはしやすいかと思います
      • が、Path のほうが扱いやすいのも事実なので、提供側がどんな利用をするか手触りで選べばいいと思います
  • Support Wildcard Characters

    • もし可能であれば、パラメータはワイルドカード入力をサポートするといいでしょう
    • Process 名を探すときにGet-Process git* などのように、ワイルドカードサポートは利便性を大きく向上します
    • ワイルドカード入力をサポートしても、出力は複数になるかは一致するとは限りません。適切に扱ってください。例えば、Set-Location はパスにワイルドカードを受け付けますが、移動は一度だけです
  • Define ObjectMembers to Be Used as Parameters

    • もし Cmdlet のためのオブジェクトを用意する場合、そのオブジェクトを Parameter として受け入れられるようにすることを考えてください
    • また、独自の型で出力する場合は、PowerShell がユーザーに表示する際やパイプラインでメンバー渡すのに向いていないことがあります。この場合は、custom Types.ps1xml を作成して用意するといいでしょう。その場合の名前は、<Your_Product_Name>.Types.ps1xml が推奨されます
      • 例えば、FileInfo を表現するときにMode という ScriptProperty を用意してわかりやすくするなどが考えられます
      • ってありますが、つくらないですねぇ。私は。Cmdlet で用意するにしても、.NET で表現できた方が好きなので。Length の代わりに Count とかもあんまり好きじゃなかったり
  • Implement the IComparable Interface

    • IComparable Interface を用意することで、データ処理が楽になります
      • わたしは作りません。いるケースをかかないっていうのもありますがPowerShell でのデータ処理を複雑に行うことはないですねぇ
  • Update Display Information

    • <YourProductName>.Format.ps1xm を用いることで、表示を望む形に定義できます
      • 私は書かないです

(Coding Guidelines) Support Well Defined Pipeline Input (SC02)

  • Implement for the Middle of a Pipeline

    • Pipeline の途中でも動くように書くとパイプラインフレンドリーです。たとえば Get-Process の結果を受けるように書くときなどです
    • 個人的にも、パイプラインは都度ストリーム処理なので速度という意味ではパフォーマンスは不利ですが、メモリ効率性は高くPowerShellっぽくパイプラインでつないでさくっとデータ処理を書けるという意味では「書くのが楽」なスタイルなのでおススメです
  • Support Input from the Pipeline

    • ではどうすればパイプラインを受けられるのかですが、Parameter に、ValueFromPipelineValueFromPipelineByPropertyName 属性を足してください
  • Support the ProcessRecord Method

    • ストリームを都度処理することがパイプラインの特徴です
    • そこれで、ProcessRecord メソッドをオーバーライドすることで、ストリームからの都度入力を操作できます

(Coding Guidelines) Write Single Records to the Pipeline (SC03)

  • Pipeline はストリーム処理をすることに良さがるので、出力を都度シングルレコードで WriteObject メソッドで書き出すといいです
  • バッファリングして出力をためたりするのは、一度立ち止まって考えてからのほうがいいです
    • もしバッチ処理的に、出力をまとめた吐く場合は、System.Managemet.Automation.Cmdlet.WriteObject(System.Object,System.Boolean) の台に引数に trye を渡しましょう
    • 私自身、時々ためる処理を書いていますが、原則はパイプラインでの処理を速やかに後続に渡すようにしています

(Coding Guidelines) Make Cmdlets Case-Insensitive and Case-Preserving (SC04)

  • Windows PowerShell 自体が case-insensitive なため、処理もそれに従いましょう

Advisory Development Guidelines

アドバイスとしてのガイドラインです。

https://msdn.microsoft.com/en-us/library/dd878291.aspx

Design Guidelines と Coding Guidelines がありますが、Coding Guidelines のみ触れます。

(Coding Guidelines) Follow Cmdlet Class Naming Conventions (AC01)

  • Define a Cmdlet in the Correct Namespace
    • 適切な名前空間におきましょう
    • 名前空間は、.Commands をつけるといいです
      • おっと、そういえばですね
  • Name the Cmdlet Class to Match the Cmdlet Name
    • Cmdlet のクラス名は、<Verb><Noun><Command> と命名するといいです
      • たとえば、Get-Process Cmdlet なら、クラス名は、GetProcessCommand となります

(Coding Guidelines) If No Pipeline Input Override the BeginProcessing Method (AC02)

  • もしパイプラインからの入力を受け付けない 場合、BeginProcessing メソッドをオーバーライドして処理を書きましょう
  • パイプラインで動く場合、初めのCmdlet が実行されたときに、他のパイプラインの処理が動く前に呼び出されます
    • この begin の動きが、一番混乱を生みやすいですね

(Coding Guidelines) To Handle Stop Requests Override the StopProcessing Method (AC03)

  • StopProcessing メソッドを可能であればオーバーライドしてください。これによって、Stop信号を制御できるようになります
  • たとえば、長時間実行するようなCmdlet の場合なんですが、これまともに機能している例をあんまりみないんですよね。Job などの仕組みです

(Coding Guidelines) Implement the IDisposable Interface (AC04)

  • PowerShell は、EndProcessing を必ずしも呼びません。例えばパイプラインの途中でエラーが出たときとかですね
  • そこで、もし Dispose が必要なリソースを用いる場合は、IDisposable を実装して、明示的にDispose を呼び出してください
    • ここださいんですよねぇ。Cmdlet 書いていてつらい部分です

(Coding Guidelines) Use Serialization-friendly Parameter Types (AC05)

  • もしリモート先で動作するような Cmdlet を書く場合、Seriablize しやすくしましょう。以下がフレンドリーな型です
    • Primitiveな型
      • Byte, SByte, Decimal, Single, Double, Int16, Int32, Int64, Uint16, UInt32, and UInt64
      • Boolean, Guid, Byte[], TimeSpan, DateTime, Uri, and Version
      • Char, String, XmlDocument
    • Built-in 型
      • PSPrimitiveDictionary
      • SwitchParmeter
      • PSListModifier
      • PSCredential
      • IPAddress, MailAddress
      • CultureInfo
      • X509Certificate2, X500DistinguishedName
      • DirectorySecurity, FileSecurity, RegistrySecurity
    • 他いくつか
      • SecureString
      • Containers (lists and dictionaries of the above type)

(Coding Guidelines) Use SecureString for Sensitive Data (AC06)

  • センシティブなデータは、SecureString 使いましょう

余談 : PowerShell Core のコーディングスタイル

PowerShell は、現在 PowerShell Core が OSS として開発されています。これは C# で書かれています。そのため、この PowerShell 本体で用いられている C# のコーディング規則が公開されています。

C# Coding Guidelines

基盤実行のため、わかりやすさとパフォーマンスに重点が置かれていることが見て取れます。

Naming Conventions

  • メソッドの名前付けに関して、PowerShell自体の原則である Verb-Noun に合わせてLoadModule などのような - 抜きの名前付けを推奨しています
  • private field に関して Instance Filed のPrefixとして、_、Static Field は s_ (加えて readonly を用いる場合 static readonly という順番)、Thread Static Field は t_ という命名を示しています

Layout Conventions

C# 同様の Allman Style であることが見て取れます。

  • Avoid more than one blank empty line at any time
  • Avoid trailing spaces at the end of a line
  • Braces usually go on their own lines, with the exception of single line statements that are properly indented

Performance Considerations

LINQ のゴミをさけること、for/foreach の選択に関して触れています。

  • Avoid LINQ - it can create lots of avoidable garbage. Instead, iterate through a collection directly using for or foreach loop
  • Between for and foreach, for is slightly preferred when you're uncertain if foreach allocates an iterator

他にも、メモリアロケーションを避けるためのUtil として定義された static field の利用や boxing の回避のための Generics の利用など細かな内容が続きます。

Best Practices

この中で興味深いのは、C# の新しいシンタックスの利用は推奨されていることです。ただし既存のコードに適用する場合は、別のPR にすることを言っています。コード公開時のコードはずいぶんと古い書き方に感じたことを覚えています。

Use of new C# language syntax is encouraged. But avoid refactoring any existing code using new language syntax when submitting a PR as it obscures the functional changes of the PR. A separate PR should be submitted for such refactoring without any functional changes.


PowerShell Scipt で書く場合のコーディングスタイル

PowerShell Team からのものと、コミュニティからのものが公開されています。

PowerShell Team

https://blogs.technet.microsoft.com/pstips/2014/06/17/powershell-scripting-best-practices/

コミュニティ

github.com

また、別にPowerShell DSC のコーディングスタイルとしてHighQualityModuleGuidelines が公開されています。これは Module 特に DSC としてに注視しているため、ここでは扱いません。

github.com

PowerShell scripting best practices

PowerShell Team Blog の内容です。

  1. ドキュメントコメントを用いて、name, date, author, purpose and keywordsの記述をしましょう
  2. 可能な限りコメントを書きましょう。ただし行き過ぎないレベルで
  3. #Requires タグを用いて、サポートする PowerShell ミニマムバージョンを明示することで、後からわかりやすくしましょう
  4. Set-StrictMode -Version Latest コマンドを使って、初期化されていない変数アクセス、存在しないプロパティやオブジェクトアクセスを防ぎましょう
  5. シンプルだが意味のある変数命名をしましょう。camelCase がベストプラクティスです。($serviceName など)
    1. camelCase は ローカル変数のみ指しています。Parameter は指していません
  6. スクリプトの上部に、ユーザー定義変数を記述しましょう
  7. 可能であれば、CodeSigning を使います。(RemoteSigned / AllSigned を Execetion Policy に使います)
  8. Alias は使わないように。フルCmdlet名、かつパラメータを明示します
  9. backticks は使用をさけます。 パイプライン | や Splatting を活用します
  10. Filter left, format right にします
  11. .exe 拡張子を外部コマンド呼び出し時につけます。sc ではなく sc.exe という感じです
  12. $ErrorActionPreference = "SilentlyContinue" でパイプラインのエラーを消さないように。try. catch, finallytrap で構造的に制御します
  13. PowerShell 挙動制御変数 を使って、挙動を変えないようにします。$ConfirmPreference などです
  14. CmdletBinding を用いて、-WhatIf, -Verbose, -Debug をサポートしましょう
  15. Advanced Functions をサポートしましょう
  16. Verb-Noun 形式で表示します。また、標準に用意されたVerb(動詞)を使いましょう
  17. パラメータは汎用的な命名にし、必要なら初期値を入れます。(Server より ComputerName が望ましい)
  18. 1 Function = 1 動作にします。1動作をよく取り扱いましょう。(Linux と同様ですね)
  19. 関数は、常にオブジェクトを返して、文字列を返すことは避けます
  20. return キーワードの利用は避けます。パイプラインの中で自動的に返されます
    1. この挙動は結構悩ましいのお気をつけて
  21. Write-OutputWrite-Host より望ましいです。なぜなら、Write-Host はホストに書き出しますが、パイプラインに書かないからです
  22. Comment Base help を用いましょう
  23. 接続を確認するときは、Test-Connection-Quiet スイッチで使いましょう
  24. スクリプトは、書式をきれいにそろえましょう
    1. といいつつ、ここで書式の明示はありません
  25. どこから実行しても動くようにしましょう。$myInvocation.MyCommand.Path$PSScriptRoot が PowerShell 3.0 以降で利用できます
  26. 関数はテストしましょう。昇格やバージョン、存在有無のテストを含みましょう
  27. Production リリース前にテスト環境でテストしましょう
  28. Module や PowerShellGet を使って再利用しましょう
  29. Script を、作る、書く、使う、メンテナンス、レビューするパイプラインは用意しましょう
  30. こんな構成がシンプルです
    1. #Requires を書く
    2. パラメータを定義
    3. 関数を書きます
    4. 変数を定義します
    5. コードを実行します
    6. コメントベースヘルプを用意します

PowerShellPracticeAndStyle

コミュニティの共通認識になっている、Style Guideについて触れます。これは Python コミュニティを見習ってできた流れです。

The PowerShell Style Guide

いかについて触れられています。

  • Code Layout and Formatting
  • Function Structure
  • Documentation and Comments
  • Readability
  • Naming Conventions

(Code Layout & Formatting) Maintain consistency in layout

このガイドラインを強制するつもりがなく、一貫性を重視しています。1行の長さや行の数など、個人の主張があればどうぞ。という立場が貫かれています。

それを前提に参考にしてください。

(Code Layout and Formatting) Capitalization Conventions

次の用語の意味で読み進めてください。

  • lowercase - 全部小文字、単語分離なし
  • UPPERCASE - 全部大文字、単語分離なし
  • PascalCase - 各単語の初めの一文字だけ大文字
  • camelCase - 最初の単語を除く各単語の初めの一文字だけ大文字

PoweShell は、Case-Insensitive なので大文字、小文字を区別しません。しかし、PowerShell が .NET Framework でできていることから、次のルールに沿っています。

Capitalization Conventions - Framework Design Guidelines | Microsoft Learn

  • PowerShell は、public なアクセスのものはすべて PascalCase を使っています

    • Function, Cmdlet 名
    • Class
    • enum
    • Attribute(属性)名
    • パブリックフィールドやパブリックプロパティ
    • グローバル変数
    • グローバル定数
    • PowerShell のパラメータも.NET Class のプロパティなので PascalCase とします
  • PowerShell のキーワードは、lowerCase で表現します

    • foreachdynamicparam
    • -eq などのオペレータ
  • コメントベースヘルプは UPPERCASE で示します
    • .SYNOPSIS
    • .DESCRIPTION
  • Function(関数)名は、Verb-Noun 形式にします。また、Verb/Noun は、PascalCase とします
  • 特殊な2文字はキャピタルで示します
  • 関数やモジュール内の変数は camelCase とします。こうして、パラメータと区別しますが、ただの好みによります
  • 共有変数としての $Script:PSBoundParameters などはスコープ名を付けて明示します
  • 特殊な2文字を含むローカル変数は、adComputer などのように両方 lowercase にします

(Code Layout & Formatting) Always Start With CmdletBinding

  • 必ず関数は、[CmdletBinding()] param() で開始します
    • いわゆる AdvancedFunctions ということです
    • 必要に応じて、begin / process / end の各ブロックの1つは外してもいいでしょう
    • Pipeline 入力を受け取ることを考えてください
  • Open Brace { は同じ行に書きます。*4
  • Close Brace } は、自分音表に書きます。*5

(Code Layout & Formatting) Indentation

  • 4スペース インデントを用います。(ソフトタブ)
    • これは PowerShell ISE の挙動に沿っています
    • 行を並べる時には、文字列を縦にそろえることを検討してください
      • 個人的に、アラインはIDEがしないならしないですが、DSC のような宣言型では有用に思える時があります

(Code Layout & Formatting) Maximum Line Length

  • 1行115 文字以内に押さえます
    • PowerShell コンソールのデフォルトが120文字であることから示されています
  • 行を抑えるためには、Splatting が有用です

(Code Layout & Formatting) Blank lines

  • 関数やクラスは、2行あけます
  • クラス内のメソッドは1行あげます
  • 関連するワンライナーでは、空行は省略されることが多いです
  • 関数の集合や処理をまとめるのに、控えめに空行を使うのもいいでしょう
  • パラメータに渡すときは、: よりも明示的に渡しましょう
    • X : $variable=Get-Content $FilePath -Wai:($ReadCount-gt0) -First($ReadCount*5)
    • O : $variable = Get-Content -Path $FilePath -Wait:($ReadCount -gt 0) -TotalCount ($ReadCount * 5)

(Code Layout & Formatting) Spaces around special characters

  • カンマやセミコロン、{} の後に空白スペースをいれます
  • かっこ や[] の中に余計な空白スペースが入らないようにします
  • $( ... ){ ... } は、中の前後にスペースを1つ入れて読みやすくします
    • 逆に外にスペースは読みやすさのため「いりません」

(Code Layout & Formatting) Avoid using semicolons (;) at the end of each line.

  • PoweShell は セミコロン; を使えますが必須としません。編集やコピペされることを考え、いらないなら点けないようにしましょう
  • 同様に Hashtable の定義時も; はいりません

(Function Structure) Functions

  • return キーワードの利用は避けます
  • シンプルな巻子うを定義するときは、関数名とパラメータにスペースを空けます
    • function MyFunction ($param1, $param2)

(Function Structure) Advanced Functions

  • 命名は <verb- から始まるようにします
  • Noun (名詞) 部分は、1つ以上を結合した単語でPascalCase 、単数形書きます
  • return キーワードの利用は避けます
  • Process {} でのみ値を返し、Begin {}End {} では返さないようにします。これをしないと、パイプラインのメリットが損なわれます
    • return を用いないのはこの意味で意味が通っています

(Function Structure) Always use CmdletBinding attribute.

  • [CmdletBinding()] を必ず用います

(Function Structure) Always have at least a process {} code block if any parameters takes values from the Pipeline.

  • Pipeline からの入力があるなら、process {} ブロックを用意します

(Function Structure) Specify an OutputType attribute if the advanced function returns an object or collection of objects.

  • 返戻値の型を [OutputType(T)] 属性で 明示します。日うように応じて、パラメータセットとともに明示します
    • [OutputType([<TypeLiteral>], ParameterSetName="<Name>")]
    • [OutputType("<TypeNameString>", ParameterSetName="<Name>")]
      • 私は、[OutputType([<TypeLiteral>]) 形式がインテリセンス補完効くので好みです

(Function Structure) When a ParameterSetName is used in any of the parameters, always provide a DefaultParameterSetName in the CmdletBinding attribute.

  • ParameterSetName を用いる場合は、[CmdletBinding()]DefaultParameterSetName を明示します

(Function Structure) When using advanced functions or scripts with CmdletBinding attribute avoid validating parameters in the body of the script when possible and use parameter validation attributes instead.

  • Script 内部ではなく、パラメータの属性でバリデートを検討します

(Documentation and Comments) Comment

  • 常に更新しましょう
  • 英語でコメント書きます
  • 「何をしているか」ではなく「なぜ」を意識して書きます
    • うまく PowerShell らしく書くと、それ自体が説明しているように表現できます

(Documentation and Comments) Block comments

  • 一行ごとにコメントをつけたりはしないように
    • そういう場合は、ブロックコメントを検討してください
  • また、コメントが長い場合は、<# ... #> で複数行のコメントを表現できます

(Documentation and Comments) Inline comments

  • 気が散るためあまり好まれません
  • が、もし短いコードに説明を要する状況ではやる価値があります
  • 2文字以上コードとスペースを挙げて表現してください
  • また同じブロックの他のinline comment 行と頭をそろえると読みやすいでしょう

(Documentation and Comments) Documentation comments

  • Comment-based は、クラスの説明ではなく「何をする関数なのか」を書いてください
    • 必要以上に強い言葉は避けます
    • 短い説明に徹します
    • だれかに印象付けるために書いているわけではなく、どう使えばいいかを伝えるために書くのです
    • 外国語を書く場合、とくにシンプルな言葉でシンプル文で書くと、より ネイティブには意味が伝わります
    • 必要十分を目指しましょう
  • 書く場所は、関数の上ではなく中に書きましょう
    • コメントの更新を意識づけるため、末尾より、頭がいいでしょう
    • NOTES に詳細を書きます
    • Synopsisに概要を書きます
    • パラメータにコメントを書きます
      • 可能なら .PARAMETER に書きます
      • ただ、コード上に書いた方が良く更新される経験則があります
    • .EXAMPLE に利用例を示します

(Documentation and Comments) DOC-01 Write comment-based help

関数には毎度書きましょう。

function get-example {
    <#
    .SYNOPSIS
        A brief description of the function or script.

    .DESCRIPTION
        A longer description.

    .PARAMETER FirstParameter
        Description of each of the parameters
        Note:
        To make it easier to keep the comments synchronized with changes to the parameters, 
        the preferred location for parameter documentation comments is not here, 
        but within the param block, directly above each parameter.

    .PARAMETER SecondParameter
        Description of each of the parameters

    .INPUTS
        Description of objects that can be piped to the script

    .OUTPUTS
        Description of objects that are output by the script

    .EXAMPLE
        Example of how to run the script

    .LINK
        Links to further documentation

    .NOTES
        Detail on what the script does, if this is needed

    #>

(Readability) READ-01 Indent your code

  • インテンドは答えがありません。ただし、Script ではなくPoweShell に解釈させたときに結果が異なることがあります
  • 以下は、エラーが出ません
if ($this -gt $that) {
    Do-Something -with $that
}
  • 以下はエラーがでます
if ($this -gt $that)
{
    Do-Something -with $that
}
  • 構成要素を インテンドに収めるのがいいでしょう
ForEach ($computer in $computers) {
    Do-This
    Get-Those
}

(Readability) READ-02 Avoid backticks

  • Backticks ` は避けます
  • コミュニティは、あなたがBackticks を行継続 として使っていると感じます
    • しかし読みにくい、見落としやすい、ミスタイプしやすい傾向にあります
    • また Backticks の後ろにスペースを入れると動かなくなります
Get-WmiObject -Class Win32_LogicalDisk `
              -Filter "DriveType=3" `
              -ComputerName SERVER2
  • このような問題を引き起こしやすいため、テストやデバッグも難しくなる傾向にあります
  • 代替としてこのような Splatting を使うといいでしょう
$GetWmiObjectParams = @{
    Class = "Win32_LogicalDisk"
    Filter = "DriveType=3"
    ComputerName = "SERVER2"
}
Get-WmiObject @GetWmiObjectParams
  • 決して Backticks は嫌われていませんが、不便なことがあるので使う必要がないようにするといいでしょう

(Naming Conventions) Naming

  • 短縮した名前をコマンドやパラメータに用いるより、明示的な名前付けが好まれます
  • Expand-Alias を使うことで、いくつかを修正できますが、問題をなくすことは難しいでしょう

(Naming Conventions) Use the full name of each command.

  • PowerShell を使う中でフル名を学びますが、Alias は1つによって違います。(Linux ユーザーにとっての ls は、DOS ではdir です)
  • もし共有スクリプトの場合、汎用的に知られている名前がいいでしょう
    • ボーナスとして、Github ハイライトがかかりますよ
# Do not write:
gwmi -Class win32_service

# Instead write:
Get-WmiObject -Class Win32_Service

(Naming Conventions) Use full parameter names.

  • PowerShell には多くのコマンドがあるため、全コマンドを把握することはできません
  • パラメータ名を省略せずフルに書くことで、読む人がコマンドに詳しくなくても伝えることができるでしょう
  • また、不要なパラメータセットにまつわるバグを避けることができます
# Do not write:
Get-WmiObject win32_service name,state

# Instead write:
Get-WmiObject -Class win32_service -Property name,state

(Naming Conventions) Use full, explicit paths when possible.

  • 省略パスを用いないようにします。基本的に ... が有効に機能するのは、特定のパスにいる時だけです
  • .NET メソッドが [Environment]::CurrentDirectory を使い PowerShell の現在パスを尊重しないことを考慮しても、やはりこのような相対パス指定は避けるようにするといいでしょう
# Do not write:
Get-Content .\README.md

# Especially do not write:
[System.IO.File]::ReadAllText(".\README.md")

# Instead write:
Get-Content (Join-Path $PSScriptRoot README.md)

# Or even use string concatenation:
[System.IO.File]::ReadAllText("$PSScriptRoot\README.md")

(Naming Conventions) Avoid the use of ~ to represent the home folder.

  • ~ はプロバイダによって変わるので避けましょう
  • 代わりに、${Env:UserProfile}(Get-PSProvider FileSystem).Home が有用です
PS C:\Windows\system32> cd ~
PS C:\Users\Name> cd HKCU:\Software
PS HKCU:\Software> cd ~
cd : Home location for this provider is not set. To set the home location, call "(get-psprovider 'Registry').Home = 'path'".
At line:1 char:1
+ cd ~
+ ~~~~
    + CategoryInfo          : InvalidOperation: (:) [Set-Location], PSInvalidOperationException
    + FullyQualifiedErrorId : InvalidOperation,Microsoft.PowerShell.Commands.SetLocationCommand

余談 : PowerShell のインデントスタイル

そもそもこれを書きたかったのです。

PowerShell は、式モード(Script の解釈) の文法解釈においては Allman でも K&R 1TBS Style でも Stroupstrup もいけます。しかし、特に 「PowerShell.exe のコマンドモード」 と 「PowerShell ISEなどの式モード」 での構文解釈にずれがあるので、両方で不都合なくと思ったら K&R 1TBS Style が自然です。 私自身 C# と一緒に書くことが多かったので Allman で書いていましたが PowerShellでも動くように フォーマットのために ` 制御文字で調整はナンセンスかな、と思います。

同様に Stroustrup もないと思います。

K&R 1TBS Style

PowerShell の文解釈と式解釈にずれが生じません。

if ($this -gt $that) {
    Do-Something -with $that
} else {
    # NANIKA
}

BSD Allman

式解釈では問題ありません。が、PowerShell にはったときに、if の下の {else でエラーがでます。

if ($this -gt $that)
{
    Do-Something -with $that
}
else
{
    # NANIKA
}

Stroupstrup

式解釈では問題ありません。が、PowerShell にはったときに、else でエラーがでます。

if ($this -gt $that) {
    Do-Something -with $that
} 
else {
    # NANIKA
}

ただし、これは、普段どちらで書いているかなどに左右されますし、チームでの共通化がとれていればいいのでしょう。

ちなみに、コミュニティでは、Stroupstrup が意外と多い結果です。

Where to put braces · Issue #24 · PoshCode/PowerShellPracticeAndStyle · GitHub

余談 : ドキュメントフォーマッター

いまや デファクトスタンダードとなった、VSCode でもフォーマット可能です。

marketplace.visualstudio.com

このあたりのエディタに任せる、という判断が私は好ましいと思っています。コードフォーマットより、内容に注力したいですからねぇ。


まとめ

以上がPowerShell Coding Style です。コーディングスタイルは、あくまでもその言語らしさを第一に、どうやれば言語の良さを活用できるかを念頭に考えられています。

特に PowerShell コミュニティは、強制を避けつつアドバイスとしてというスタイルで醸成を図っています。みなさんのコード公開時に悩むということが減ることを祈ります。

軽くまとめます。

C# で書く Cmdlet の Coding Style

ほぼ、C# のコーディング規則通りです。フィールドにprefix当りが違う、PowerShell Cmdlet として属性をどうすればいいのか、override 時にどうするのかがメインメインになります。あとは、Path などの利用しやすさ、ですね。最も重要なのは、Verb-Noun 形式での公開でしょう。

  1. (Required) PSCmdlet を継承しましょう
  2. (Required) Cmdlet は Atrribute で挙動や命名を表現できます
  3. BeginProcessing/ProcessRecord/EndProcessing を用いて、入力を操作します
    1. (Required) Pipeline で用いないなら BeginProcessing のみで表現します
    2. (Required) Pipelin で用いるなら、ProcessRecord で入力を操作します
      1. (Strong) この時、入力ストリームはためずに即座に出力する方がいいでしょう
  4. (Required) 出力型は OutputType 属性で明示しましょう
  5. (Required) 出力オブジェクトは、内部で保持しないように
  6. (Required) 例外は ErrorRecord を用いて適切に扱いましょう
  7. (Required) Cmdlet は Module として配布しましょう
  8. (Strong) パスを用いるCmdlet の Parameter には、Path や LiteralPath を容易するといいでしょう
    1. (Strong) Path = Wildcard 入力を受け入れる場合に使います。PSPath を Alias として公開します
    2. (Strong) LiteralPath = Wildcard 入力を受け入れない場合に使います
  9. (Strong) 可能であれば Wildcard 入力を受け入れましょう
  10. (Strong) 自前の型を用意した場合、custom Types.ps1xml<YourProductName>.Format.ps1xm として用意するといいでしょう
    1. (Strong) <YourProductName>.Format.ps1xm で、出力された表示を適切にしましょう
  11. (Strong) 比較が必要ならIComparable を実装しましょう
  12. (Strong) パイプラインで動くようにしましょう
    1. (Strong) パイプラインの入力を受け入れるようにしましょう
      1. (Strong) その場合 ProcessRecord でハンドルします
    2. (Strong) パイプラインではシングルレコードを返します
  13. (Strong) Cmdletはケースインセンシティブにしましょう
  14. (Advice) 名前空間に、.Command をつけましょう
  15. (Advice) Cmdlet のクラス名は <Verb><Noun><Command> とします
  16. (Advice) StopProcessing をオーバーライドして操作を止めましょう
  17. (Advice) リソースを使う場合は、IDisposableを実装して明示的に呼び出します
  18. (Advice) リモート動作させるなら、シリアライズしやすいといいですね

※ Design Guide に含めれていてここにないのですが、PascalCase などのルールは、C# のコード基準に準しています。が、prefix を推奨したりしていて必ずしも準していません。

PowerShell で書く Funcion の Coding Style

インテンドスタイルを除き、多くは .NET で Cmdletを書いたらどうするのか、を基本コンセプトにしています。ただ、PowerShell の言語仕様として、; を省略できるといった部分はいらないなら書かなくてもいい。Backticks 避けようね、といったどうすれば読みやすいか、言語として書きやすいかを大事にしています。

こちらも最も重要なのは、Verb-Noun 形式での公開でしょう。

  • AdvancedFunction が標準になっています。ぜひ検討してください
    • [CmdletBindings] 属性がないと各種属性が書けないので当然かなと
  • 特に [OutputType] は、PowerShell のオブジェクト = 型を伝える、パイプラインの伝搬という性質に強く影響があるため必須です
    • ただし、OutputType と実際の返戻値は一致しなくても警告もエラーもでないので注意がいります。(ここがあまい)
  • #Requires タグは有益です。今後 Core が広まるなかで、より有益になるでしょう
    • ただ、実行時にしかわからないあたりが触り心地はよくないです
  • Set-StrictMode -Version Latest は 、あって困ることはないのでいれましょう
  • Verb-Noun 形式大事
    • しかし、外部に露出しない関数は、わたしは VerbNoun と普通のメソッド形式で書いています。実は。そこ Verb-Noun にしなくてもいいと思っています。(この例は PowerShell Team のコードにも良く見ますね)
  • ローカル変数はcamelCase、パラメータなどは PascalCase、これ広まってほしいですね
  • Splatting は結構目にします。やりすぎると読みにくくなりますが、多くの面で有益でしょう
  • 命名規則、省略を避けるという例は、PowerShell の目指す「わかりやすさ」に沿っており大事にしたいところです
  • Pipeline での動作がいらない時はbeing のみ書く
    • 省略したときの挙動との一致ですね
  • Pipeline での動作がいる場合は、process で返却する
    • end で返すことも多いのでふむですね
  • return はなるべく使わない
    • これはreturn をすると制御、関数が終わることを意図しています
    • が、ユーティリティ関数なら return を私は好んでいます

※ ここにはありませんでしたが、ASCII キーボードにおいて '" よりも Shift 入力が不要でタイポしにくいことから、文字列は ' が推奨されています。日本語キーボード? どっちでもいいですよねぇ。

*1:英語 : https://docs.microsoft.com/en-us/dotnet/csharp/programming-guide/inside-a-program/coding-conventions

*2:英語 : https://docs.microsoft.com/en-us/dotnet/standard/design-guidelines/naming-guidelines

*3:これは語弊があり、実際は .NET Framework の言語であれば F# で書くこともできます。が、ここでは話をシンプルにするためにこの前提でいきます。

*4:議論 : https://github.com/PoshCode/PowerShellPracticeAndStyle/issues/24

*5:議論 : https://github.com/PoshCode/PowerShellPracticeAndStyle/issues/24